Table of Contents
1. はじめに
今年も7-8月に1ヶ月強一時帰国しています。サマーリーディングの季節です。私は夏の1ヶ月の間だけ技術に関係のない日本語の本を読みます。本屋に行くと、まずは新潮文庫で村上春樹の新刊を探し、次には岩波文庫の白と青帯の前でうろうろしてしまいます。
2. 読んだ本
2.1. 民主主義の本質と価値(ハンス・ケルゼン)
日本への一時帰国に先立ち、去年買って積んであった本書を手に取ってみました。全く期待していなかったのに、とても面白かったです。民主主義の本質は自由への志向にある、民主主義はそれを破壊しようとするものをも内在させ保護するため、維持する努力が必要である、といった指摘はするどいです。実際に、極めて民主的であったワイマール憲法を持つドイツがヒトラーの台頭を許しています。現代でも民主主義が壊されていくことを目撃することになるかもしれませんね。
2.2. 街とその不確かな壁(村上春樹)
読み始めてしばらくは大して面白くなく、がっかりしていましたが、下巻の後半から持ち直して、まあ一応満足して読み終わりました。いつもの村上ワールドではあるんだけど、登場人物がいまひとつ魅力的でない気がしました。
2.3. 方法序説(デカルト)
最高峰の学問として哲学にはずっと興味を持っているのですが、カントにしろアリストテレスにしろ、読み始めては全く理解できずに挫折することを繰り返してきました。少しでも面白いと思ったのは、数学や物理に少し似ているウィトゲンシュタインや、物語のように読めるニーチェとプラトンくらいです。もちろん、中身は大して理解していません。
本書は短い本です。有名な「我思う、ゆえに我あり」のところも含めてさらっと読んでしまいました。徹底的に疑った割に、神の存在はgivenなものとして話が進むのは、ガリレオが教会にひどい目にあったのを見ているからなのか、疑うことさえできないほど刷り込みが強いからなのか、などとよこしまなことを考えながら読みました。
2.4. 大衆の反逆(オルテガ・イ・ガセット)
有名な著者の有名な書籍らしいのですが、それと知らず、本屋でパラパラめくって面白そうだったので購入しました。
大衆や国家の捉え方で面白い観点はあるのですが、なにぶん著者の視野が狭く、偏見に満ちているために、読んでいて苦痛でした。言いっ放しで説明不足な箇所も多いです。書き方が大げさなのは著者がスペイン人だからでしょうか。現代にあらためて読む価値はあまり感じられませんでした。
2.5. 功利主義(JSミル)
「自由主義」は面白かったのに、こちらはそれ程でも無かったです。「満足した豚よりも不満足なソクラテスうんぬん・・」など、説教臭さとエリート主義が鼻につきました。
2.6. プロレゴメナ(カント)
一週間以上かけて頑張って読んだのですが、理解が追いつかず。本当は何度も繰り返し読んで用語や概念、カテゴリー表等の理解を深めていくのが正しい読み方な気がしましたが、時間が無いのでとりあえずお終い。とてもじゃないけど純粋理性批判に進む気にはなりませんでした。
3. 買った本
3.1. 物理学の発展-山本義隆自選論集II
予備校時代に先生の講義を受けました。おかげで自分が物理に向いていると勘違いして、物理科に行ってしまいました。大学の授業は全く面白くなく、プログラミングのアルバイトからコンピューター関係の仕事についた訳ですが。
3.2. 論理哲学論考(ウィトゲンシュタイン)
3.3. 新物理入門問題演習(山本義隆)
4. 終わりに
今年はじゃっかん難しい本に偏りすぎました。しかも消化不良気味。