Table of Contents
1 はじめに
これまで意識して英語の本ばかり読んできましたが、一時帰国中ということで、今年のサマーリーディングは日本語の本を読みます。
2 読んだ本
2.1 青春 J.コンラッド
いきなり英語からの翻訳です。本棚に眠っていた昭和41年の本で、翻訳が古くて読みづらいです。たった50年やそこらで、日本語はだいぶ変わったのですね。面白いというよりは、突拍子もない場面設定や話の展開に唖然としました。
2.2 シーシュポスの神話 カミュ
全然面白くなかったです。というか、さっぱりわかりませんでした。が、いつか読もうと予備校時代からずっと心の片隅で思っていたのが解消されたことで満足しました。(ナボコフのロリータやメルヴィルの白鯨と同じような読後感でした)
2.3 下流志向 内田樹
ショッキングな本でした。学生の学力低下がずっと言われていますが、その原因となる、自分たちの意思であえて下流に転落するトレンドと彼らの考えを紹介しています。新書のようにさらっと読める本で、物足りなさを感じました。
2.4 自由論 JSミル
下流志向を読んで、もう少し骨のある本が読みたくなって選びました。高校、大学で読んでおくべき常識レベルの古典と思いましたが、当時の自分だったら単なるつまらない本だと感じたに違いありません。多くのアメリカ人が大事にする「自由」について、何の自由をなぜ守る必要があるか、ということが書いてありました。面白かったです。
2.5 雪国 川端康成
せっかく日本にいるので、日本の純文学を一つ読みました。日本文学は懐古趣味的に読むにはいいですが、つまらないと感じることが多いです。情景描写に過度に力が入っていて、肝心の内容が薄っぺらく、提起する内容がほとんど無いように思います。日本の純文学は詩のように美しさを楽しむもので、ストーリーの面白さで勝負する世界の文学とはポイントが違うのでしょうか。
2.6 はたらく細胞1〜6 清水茜
久々に漫画を読みました。1000万部近く売れたようですが、納得の面白さでした。
2.7 ソクラテスの弁明・クリトン プラトン
弁明において、ソクラテスの自己弁護には説得力が無く、肩透かしに感じました。むしろクリトンでソクラテスが語る、擬人化した国家による論理展開は死刑が迫っているという差し迫った状況もあり、迫力があって面白かったです。
2.8 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 マックス・ウェーバー
JSミラーの自由論が面白かったと友人に話したら、マックス・ウェーバーくらい読んでおけと言われたので選びましたが、選ぶ本を間違えたかもしれません。私がほとんど知識を持たないキリスト教宗派間の特徴の違いが論点となるため、ちっともピンと来ずに読んでいて辛かったです。本文と同じかそれ以上の注釈が付いていて読みづらいです。カルヴィニズム派の、与えられた仕事を天職と考え、主体的にかつ義務として取り組むことが高い業務効率につながった、という分析はなるほどと思いました。巻末にある、訳者による長めの解説が理解の助けになりました。
2.9 社会学の根本概念 マックス・ウェーバー
社会学における基本概念を体系的にまとめた本ですが、全く初学者向けではありませんでした。
2.10 国家 プラトン
大学生の頃から、哲学書に手を出しては挫折することを繰り返してきました。入門書を読んではわかった気になり、元の本に挑戦するとさっぱりわからないのです。今更ですが最近思うに、内容が難解なこともあるでしょうが、前提知識が足りないことが大きな原因な気がしてきました。そこで、前提知識のいらないプラトンから入門してみることにしました。
結局日本滞在中には読み終わらず、アメリカに戻ってから読み終えました。