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1 はじめに
アメリカで歯科治療をすると非常に高く付くと聞いていたので、出向中は極力歯医者にかからないようにしてきました。会社から渡されていた医療保険は日本の保険に準じたカバー内容となっています。アメリカで普通に歯医者にかかると、カバー範囲外の治療となって100%自己負担になる場合がある、と怖いことを言われていたこともあります。今回の出向に来て2年弱になりますが、家族誰も、一度も歯医者に行きませんでした。
しかし、アメリカの企業に転職して、歯医者に行かない作戦を見直す必要が生じました。
2 保険制度の違い
アメリカの医療保険制度は癖が強く、分かりづらいです。何故か、一般の医療保険と歯科保険、更に眼科保険が別枠です。歯科保険を見てみると、日本の保険制度には見られない、いくつかの重要なキーワードが出てきます。
まずはdeductible。これは、その年度において、保険が補助してくれる前に100%自己負担となる金額です。deductibleが$50なら、$50は自費で支払います。$50を超えてから、保険が補助してくれるようになります。
次に、in-network。加入している保険会社と提携している歯科医をin-networkな歯科医と呼びます。in-networkな歯科医を選ぶことで、自己負担を少なくすることができます。
basic serviceとmajor service。治療内容によって保険が補助する負担割合が変わります。basicは自己負担率10%、majorは40%、のように。これらの区別は多少グレーで、例えば親知らずの抜歯は、場合によっていずれにもなるそうです。
calendar-year maximum。年度内で保険が補助してくれる上限です。$1500とか$2000とかに設定されています。大きな治療をすると、簡単に上限に達してしまいそうです。
orthodontia。歯科矯正のことです。私の保険の場合、これは一般治療とは別枠になっていて、上限の$2000まで保険が50%補助してくれます。しかし、矯正は最大で$10,000もするので、実質$2000だけが保険の補助、残りは自己負担になります。orthodontiaは年間でなく一生の上限が$2000に設定されています。$2000とは言え、日本は全額自己負担のため、優遇されていますね。
そして、検査とクリーニング(歯石取り)はなんと自己負担ゼロです。アメリカの保険は一般的に、検査は全額補助で、治療は自己負担+補助という考え方になっています。また、calendar-year maximumの制度も特徴的です。高額な治療費が発生するということは、そもそも普段から予防、(小さな)治療を怠ってきたからであって、そこは自己責任でお願いします、というポリシーなのですね。
3 歯科医を選ぶ
出向中に会社から与えられていた歯科保険が、自己負担が天井知らずになるリスクを伴うものだったので、恐ろしくてアメリカでは歯科医に行きませんでしたが、転職を機に、2年弱ぶりにチェックアップに行く決意をしました。
まずは、歯科保険会社のポータルから、in-networkな歯科医を検索します。幸いなことに、徒歩10分圏内に2件見つかりました。Yelpで評判を見た所、うち1件の評判が良かったので、そちらにコンタクトしました。
しかし、予約が取れたのは来年の2月です。それではだいぶ先なので、Yelpで評判がいまいち(2.5/5点)な歯科医にもコンタクトしたところ、翌日に子供と私の予約が取れてしまいました。ここなら歯科矯正医がいるので、子供の矯正をお願いできそうです。Yelpの評判は4割が5星、6割が1星という両極端なものなので、一度行ってみて、自分で判断しようと考えました。
1星を付けているレビューは、受付がrude、予約時間を守らない(待ちが長い)、費用が高め、不必要な治療を勧められるといったものがありました。英語に難があり、交渉の苦手な日本人としては、いろいろ押し付けられるのではないかと不安になります。
4 2年ぶりのチェックアップ
前回の歯科検診は、出向になる直前なので、2年弱前になります。アメリカの歯科検診では、日本では虫歯認定されないものまで虫歯と言われるらしいので、どんな診断となるか不安でした。
予約の時間に、子供と二人でYelp 2.5星の歯科医院に行きました。受付には、押しの強そうな女医さんがすわっていました。どうやらこの人が、受付兼歯科矯正医兼経営者な方ようです。確かに押しは強いですが、rudeではなく、むしろ頼りがいがありそうです。第一印象は悪くありませんでした。
頭部をぐるっと回って撮影するタイプのカメラで、レントゲン写真を撮りました。日本の歯科検診よりも大掛かりと思います。対応してくれたドクターか助手さんは、フレンドリーでした。歯石取り(クリーニング)は日本と同じ感じでしたが、口の中に溜まった水の排出を、口に加えたパイプから行う点が違いました。日本では、ある程度水がたまったらうがいして出しますよね。最初はこれに慣れず、水が喉に入ってきて咳き込んでしまいました。
私の結果は、日本にいたときからわかっていた小さな虫歯を指摘されたのと、残っている親知らずを抜くように勧められたことだけでした。若干拍子抜けです。
子供は虫歯は無く、残っていた4本の乳歯を抜く治療を勧められました。例の女医さん曰く、「私の経験上、残っている乳歯は放っておいても抜けない」とのこと。セールストークを感じたので、その場では治療しませんでした。
5 乳歯抜歯と歯科矯正開始
自宅に帰って家族と相談し、結局、乳歯の抜歯をお願いすることにしました。予約は週明けですぐ取れました。Yelpの評判があまり良くないせいでしょうか。。。
その日の夜、子供が歯医者さんに指導されたフロスを使っていたところ、残った4本の乳歯のうち、1本が抜けてしまいました。女医さんの経験上の話は、話半分に聞いたほうがよさそうです。自己負担分$55の節約になってラッキーです。
予約の時間に、歯科医院に子供に付き添って行きました。乳歯3本の抜歯は15分かからずに終わりました。自己負担10%とすると、これで$1700かかっていることになります。歯科医はいい職業ですねぇ。
その後、例の女医さんと会話し、子供の歯科矯正をお願いしました。その日は歯の写真を一通り撮りました。気になる費用ですが、矯正プラン作成に$675、その後の矯正自体に$6500-$7500かかるとのこと。保険が$2000補助してくれますが、やはり高いですね。。。
帰りがけに、その日の支払いを求められ、抜歯と矯正プラン作成で$920をクレジットカードで支払いました。あれ、支払いは後日保険会社に対して行うものと思っていたのですが。明細が無いので、保険がどのように補助してくれているのかわかりません。このあたりは明確にして欲しいところです。
6 今後
今回かかった歯科医院は、治療の説明がきちんとあり、セールストークを感じる以外は悪くなさそうです。子供は歯科矯正の必要があるので、それが完了するまでは、このままかかりつけとしてお願いしたいと考えています。
私は2月に予約したもう一つの歯科医院に行ってみて、どちらをかかりつけにするか決めたいと思います。比較対象が無いと良し悪しがわからないので。
7 後日(3/4/2022追記)
7.1 定期チェック&クリーニング(2/24/2022)
最初に予約していた歯医者さんのチェック&歯石取りです。レントゲンを撮って説明があり、歯石を取って、フロスの使い方指導でおしまいでした。保険は年に3回までカバーしてくれるので、無償でした。
説明や対応が丁寧で、好感が持てました。
7.2 虫歯治療(3/4/2022)
今回アメリカに来る直前に日本で受けた歯科チェックで、虫歯を一本指摘されていましたが、その治療をしました。ここの先生は台湾出身で、陽気で楽しい人です。メインの歯医者さんとしてお世話になるつもりです。
虫歯は詰め物の下に出来ていました。麻酔を数カ所してしばらくしてから削り、その場で詰め物をしました。結構長くかかった気がしましたが、30-40分くらいで終わりました。
費用は、トータル(Balance Due)が$536.70、よくわかりませんがSub Totalが$275、その場で$72.50支払いました。どんな計算なのかinvoiceだけからはよくわかりませんが、大きな請求は無かったのでほっとしました。