Daydreaming in Brookline, MA

アメリカでアパートリース契約を破棄

1 はじめに

前回のエントリーで書きましたが、アメリカ企業に転職して、家賃を自分で支払わなくてはならなくなりました。

これまでのアパートは2ベッドルームですが、広さが150平方メートルもあって、3人家族には広すぎました。半分くらいの広さでよいので、よりリーズナブルなアパートを探すことにしました。

私の住んでいるMassachusetts州Brookline市はボストン市の隣にあって、安全で教育のレベルが高く、そしてその分家賃が高い所です。Brooklineに拘らずに郊外に行けば、リーズナブルなアパートが見つけやすくなると思いますが、子供の学校を変えたくないために、同じ学区内であることを条件としました。

2 契約期間について

アメリカでは、アパートの賃貸契約は1年間であることが多く、毎年更新します。インフレのために家賃は1,2年毎に上がっていきます。日本と比べて賃貸リース契約は大家側が有利にできていて、特に契約書で規定されていない限り、入居者は契約更新のタイミングでしか引っ越すことができません。

リース契約を途中で破棄するには、大家との交渉が必要で、大抵の場合は高額の違約金が発生します。相場は2ヶ月分程だそうですが、以前の出向で日本への帰任のために契約破棄しようとしたときは、大家が全く交渉に乗ってくれず、全残額である家賃4ヶ月分を支払う羽目になりました。

今回は契約期間が7ヶ月分も残っていたため、最悪の事態になった際のペナルティーが大きすぎます。そこで、次の契約更新に備えて市場に出ているアパートをウオッチするところから始めました。

3 物件探し

apartment.com や zillow.com という物件探しのサイトにアカウントを作成して、地域や家賃、部屋数、駐車場の有無などでフィルターして、自分たちの好みに合うアパートを探しました。

私達の条件は、2ベッドルーム駐車場付き、家賃が500ドル以上下がること、水回りがきれいなこと、子供の現在の学校と同じ学区であること、でした。家賃の面でも物件数の面でも、同じ学区の縛りが厳しいです。

良さそうな物件があったら、不動産業者にコンタクトして見学を申し込みます。写真と現物はだいぶ違ったり、コンタクトしたらその物件は既に無かった、ということがよく起こります。このあたりはアメリカに限らず日本でも同じように思います。

3軒めの見学で、想定外のことが起こりました。きちんとリノベーション・メンテンナスされているため水回り含めてきれいで、家賃他の条件もほぼ希望通りの物件がいきなり見つかってしまいました。これまでの経験から、Brookline近辺でここまで条件の良い物件は簡単には出てきません。

家族会議の結果、現在の賃貸契約を破棄し、しかしそれに伴うペナルティーを最小限にするように方針転換することにしました。

4 大家と管理会社との交渉

目星をつけたアパートの入居可能日まで約1ヶ月ということで、最初からブラフをかけずに本気で交渉を始めました。出発点として、家賃1ヶ月半のペナルティーを提示しましたが、大家さんは交渉に乗ってきません。そこで、相場2ヶ月に少し色を付けた2.5ヶ月の代案を提示しました。大家さんとの間に入ってくれる管理会社の担当者も、いい提案だと言ってくれました。

並行して管理会社に次の入居人候補探しを依頼していたのですが、ラッキーなことにいきなり次の入居者が決まってしまいました。大家さんやcondo association(住民組合?)の審査もパスしたので、私達も次のアパート契約を進めて良いという連絡が管理会社からありました。それどころか、退去期限も次の入居者の都合で勝手に決められ、こちらもいそいで新たなアパートの契約を進めて一気にサインしました。

5 管理会社とのバトル

このタイミングで最悪なことが起こりました。これまで住んでいたアパートには備え付けの中華テイストな家具があり、次の入居者がこれらの家具を嫌がって、契約せずにキャンセルしてしまったのです。

大家さんは現在中国在住の方で、備え付けの家具には深い思い入れがあるようです。私たちは短期の仮住まいということであまり気にしませんでしたが、確かに言われてみると、これら備え付け家具はだいぶ癖が強いと感じます。

中華テイストあふれる備え付け家具の一つ。 chest.jpg

まずい事態です。来月からは家賃がダブルで発生してしまいます。そもそも家賃を下げる目的で次のアパートを探し始めたはずですが、結果的に本末転倒というか、想定外なことになってしまいました。

管理会社は次の入居者を全力で探してくれているようですが、簡単には決まりません。状況と見通しを伝えてほしい、と管理会社に連絡するも、担当者がつかまりません。

1, 2週間ほど経過してやっと担当者から電話があったので、クレームを付けました。管理会社から入居者が決まったと言われたので私は次のアパートの契約を進めたのであって、二重に家賃払が発生するのは不当であり、私だけが被害を被るのはアンフェアである、と。おそらく裁判になったら私が不利と思いますが、管理会社には少なくとも道義的な責任があるはずです。アメリカでは主張しないと負けが決まってしまう(場合が多い)ことを経験上学んでいたので、頑張って主張しました。

担当者は、キャンセルしてしまった入居者はあくまで候補であって、契約したとは言っていないと主張しましたが、全力で次の入居者を探すことと、こちらが提案していた2.5ヶ月のペナルティーで済むように大家と交渉することを約束してくれました。不安な状況ですが、真剣に行動してくれそうなために少し安心しました。

6 悪くない結末

次の入居者が決まらないまま翌月になりました。これから毎月双方のアパートで家賃払いが発生するかと思うと憂鬱です。悩んでばかりもいられないので、淡々と引っ越し手続きを進めました。引っ越しについては別エントリで書きます。

そんな中で、管理会社の担当者からこれまた想定外のうれしいメールが来ました。大家の説得に成功し、こちらの提案していた2.5ヶ月のペナルティーで契約破棄できることになったと言うのです。しかも、既に始まってしまった今月分の家賃も含めて2.5ヶ月。現実的に起こりうるなかで、最もありがたい結果となりました。

ペナルティー金額を振り込み、アパートの鍵を管理会社担当者に渡して、無事に円満退去することができました。